第24回北日本看護学会学術集会
ご挨拶
地元創成看護の探求
第24回北日本看護学会学術集会は、コロナ禍の研究活動への影響を考慮し1年間延期しました。お待ちいただいた皆様と温かく見守ってくださった塩飽理事長に心から感謝申し上げます。
さて、今回の学術集会は「地元創成看護」をテーマにしています。この言葉を初めて聞く方もいらっしゃると思いますが、地方であれ都会であれ人々には生活を営む「地元」があります。地元に向き合う看護とはどのようなものか、本学術集会を通して皆様と共に深めていければと考えています。
まず、会長講演では「地元ナースの発展」と題して、山形県立保健医療大学が2014年度から取り組んできた文部科学省GPである「山形発・地元ナース養成プログラム」及び後継事業について紹介します。地元ナースは本学が新しく作った用語であり、地元の小規模病院・診療所や高齢者施設、在宅ケアサービス機関等で地元住民の多様な健康問題に幅広く対応できる看護職を指します。GP事業推進責任者を務めた菅原が地元ナースの発展について講演します。また、本GPは日本学術会議の地元創成看護先駆例調査の対象にもなりました。特別講演では、地元創成看護学の提言を発出した日本学術会議の会員である西村ユミ氏(東京都立大学健康福祉学部看護学科)から「看護学のパラダイムシフトとしての地元創成看護学」についてご講演いただきます。
午後はシンポジウム「地元創成の若き看護リーダー」を開催します。今日、各地で新しい発想による様々な活動が開始されています。株式会社FAB3代表で訪問看護ステーションを立ち上げ自らも訪問看護を実践している櫻井修平氏、産褥訪問看護師「ナーシングドゥーラR」等の活動に携わっているカモミール代表の渡辺比呂子氏、病院に勤務しながらNPO法人ウテカンパで「人とつながり、まちを元気にする」コミュニティナース活動を推進している須貝夢乃氏から、それぞれの活動紹介とやりがいをお話しいただきます。夕方には、スウェーデンのウプサラ市にある認知症ケアホームウプサラ市立Årstagåden(オーシュタゴーデン)の認知症専門看護師である長谷川佑子(Yuko Elg)氏による教育講演「スウェーデンの認知症ケア-その人にとってかけがえのない生活-」があります。
また、本学教員や関係者が講師を務めるセミナー等も用意しています。教育セミナー「次世代に地元創成看護を伝える」では、佐藤志保氏、今野浩之氏、栗田敦子氏が教育実践の報告をします。実践セミナー「看護の力でつながる町をつくるー豪雪・人口減・高齢化にある小国町立病院の実践例からー」では、遠藤和子氏が人と人をつなぐ看護実践について報告します。お昼の時間帯には「博士後期課程でみえたこと、みえること」と題した語り場カフェを開催します。安保寛明氏がコーディネーターを務め、佐藤大輔氏、牧千亜紀氏、高谷新氏が博士後期課程について語り合います。
第24回北日本看護学会学術集会は、コロナ禍の影響を最小限に止めるため、上述したプログラムは9月3日(土)にすべてオンラインで実施します。学会発表については、9月3日(土)~10月1日(土)の期間にオンデマンド配信を、9月3日分の録画は10月1日(土)までオンデマンド配信をします(開始時期は調整中)。コロナ禍でICT活用が推進され、遠方にいても相互につながる新しい時代を迎えました。制約は否めませんが、オンラインによる交流、オンデマンド配信の質問の受付等、できる限りの工夫を行いたいと思います。多くの皆様のご参加とご支援をお願い申し上げます。
第24回北日本看護学会学術集会
会長 菅原京子
(山形県立保健医療大学)